黒猫*溺愛シンドローム~Plus~




“うまくいっている”


昼休みのダイスケの言葉を思い出す。

…まぁ、あれは明らかに、皮肉だったけどね。




でも、この通り。

2人の関係は、ものすごく順調だと思う。



だって、ほら。

手を繋いでも振り払われなくなったし?

すぐ隣で肩を並べて、おとなしく歩いてるし?


何より…

彼女のほうから、
“一緒に帰ろう”って誘いに来るようになったんだよ?


帰れない日は寂しそうな顔をするし、

時には「待ってる」って言う日だってある。


素直に言えないところが、また可愛いって言うか…
もう、たまらないよね。



「……何?」



俺の視線に気づいて、怪訝そうに俺を見上げる彼女。

おっきな瞳で。
ピンクの唇を尖らせて。

細くて華奢な肩の上で
サラリと揺れる黒髪。



……誰が見たって、綺麗だと思う。



最初は、俺だけだと思ってた。

彼女は俺の理想そのものだったから。

惚れた欲目って言うか…


「可愛い」って思うのも、
「綺麗だ」って思うのも。


俺だけなんだ、って。


でも……