「……ん?」
私の必死の叫びに、ゆるりと顔を上げる王子様。
その熱を帯びた瞳と艶やかな唇から漏れる“色気”に負けそうになるけど…
ダメだ。ここはちゃんとしないと。
「キ…キスだけでいいから」
「え?」
「だから、こ…これ以上はちょっと…」
言わせないでほしい。
察してほしい!
私はゆっくりと、たった今、王子の顔が離れた場所へと視線を落とした。
……すなわち、思いっきり顕わになった自分の胸元、に。
「キス“しか”してないよ?」
そんな私の努力も虚しく、至って冷静に言ってのけて、再び唇を落とされた。
「…っ!」
…ヤバイ。これはヤバイ。
いつの間にやら、既に私のブラウスのボタンは全開だし。
スカートのホックにも手が回ってるし…
「やっ…」
逃げようと体を引いたのが悪かった。
―――バーン。
突然響いた不協和音。
バランスを崩した私の背中がピアノの鍵盤に当たった音。
すごく耳障りだったけど…
それが功を奏したのか、王子の動きがピタリと止まった。
終わり?
ほっとしたのも束の間。
「ごめん、場所変えよう?」

