「…はぁっ?」
何を言っちゃってるのかなぁ?この人は。
「ほら。遠慮しないで。」
固まる私に向かって、両手を広げている。
…来い、っていうの?
まるで、黒いのを呼ぶときみたいじゃない。
私は猫じゃないし。
同じ扱いされても困る!
……なんて憤りつつも、
「風歩ちゃん?」
柔らかい声で名前を呼ばれて。
やさしく甘い瞳で、そんなふうにまっすぐに見つめられたら…
――ポスン。
その腕の中に収まってしまうのが、正常な人間の性ってヤツでしょ?
「……捕まえた。」
フッと笑って、私の身体をふんわりとを包み込む王子様。
馴れ親しんだ温もりと香りに安心して、無意識に瞼が閉じる。
あ~…ダメだ、私。
完全に飼い馴らされてるよね。
認めたくないけど…
私はもう、コイツがいないとダメなんだって思い知らされる。
「ごめんね、風歩ちゃん。」
私の髪を優しく撫でながら、王子がポツリと呟いた。
「寂しい思いさせて、ごめんね…」

