「ちょっ…な、何?」
言うや否や、私の手を引いてスタスタと歩き出した王子。
「どこに行くの?」
私の問いに答えることなく、玄関とは反対に。でも、2階への階段を上がるわけでもなく…
廊下の奥へと足を進めて行く。
がっちりと手を握られている私は、されるがままについて行くしかない。
あ~、もうっ。
「さぁ、どうぞ。」
連れて来られたのは…
今まで1度も足を踏み入れたことのない空間。
「何?この部屋」
入ってすぐにソファーとテーブルが見えたから、普通に応接間か何かかと思ったのに、
「…ピアノ?」
部屋の奥の窓辺に、ど~んと置かれた立派なグランドピアノ。
それだけじゃなく、部屋を見渡せば、ギターやらバイオリンやら…様々な楽器が並べられている。
あ、ドラムセットまで。
ここって…
「我が家の“音楽室”ってところかな。」

