“なっちゃん?”
今の可愛らしい声は、間違いなく、萌ちゃんなわけだけど…
「なっちゃんだよね?」
見れば、その視線はまっすぐにドアのほうへと向けられている。
なっちゃんって、まさか…
「……?」
萌ちゃんの声に、ゆっくりと振り向いた“なっちゃん”は――
「うぎゃぁっ!」
彼女の姿を捉えるなり、慌てて近くにいた王子の後ろに隠れた。
まるで、化け物にでも遭遇したかのような驚きっぷり。
さっきまでの仏頂面が嘘みたいに、一瞬にして顔が真っ青になった。
「うわぁ…なっちゃんだぁ。」
ひょこひょこと近づいていく萌ちゃんに、
「うわっ、く…来るなよ!」
王子を盾にして、なんとか距離を取ろうとするナツメ。
「なんで?なんで、なっちゃんがここにいるの?」
それでも瞳を輝かせながら、ぐいぐいと近づいていく萌ちゃん。
一体、どうしちゃったの?
いつもの萌ちゃんじゃないよ?

