「うわぁっ!カワイイ!!」
……なんで?
「写真で見るよりずっと“べっぴんさん”だね。」
言いながら、目の前の黒い生き物を嬉しそうに抱き上げて…
「子供の頃、アユムくんが夢見てた通りの“黒猫さん”だ。」
ナツメは無邪気に笑った。
……何?この状況。
時は、放課後。
場所は、すっかり慣れ親しんだ“風見邸”。
隣には、いつものようにこの部屋の主である“王子様”がいるわけだけど…
「よろしくね、カリン。」
いつもとは違う“お客さま”が1人。
黒いのを撫でまわした挙げ句、ついには頬擦りまでしちゃって。
黒いのは黒いので、それを嫌がる様子もなく…
むしろ、気持ちよさそうに目を細めてゴロゴロ喉なんか鳴らしちゃってさ。
初対面の“人間”に、そんなになつくもんなんだ?
私のときなんて……って、問題はそこじゃなくて。
「…ねぇ、」
イライラを抑えつつ、私は首を傾けて、隣のヤツの顔を見上げた。
「今日ってさ…
課題を手伝ってくれるんだよね?」