「大西先生には、関係ないです。」
「あら、それはごめんなさいね。」
大西先生が入ってくると
愛美ちゃんは、席に着いた。
「石本先生、あなた職員室に
国語の教科書忘れてるけど?」
「あ、私としたことが…
申し訳ありません。
大西先生、ありがとうございます。」
「いいんですよ。別に。」
言葉のわりには、目が
笑っていなくて怖い。
「そ、それにしても同じ
名前だと、わかりにくいから
あだなをつけたらどうかしら。」
石本先生が場をなごませる
ためにそう言ってくれた。
「先生、それいい案ですね!」
「ありがとう。まなみというのは
どうかしら。愛に実るだと
まなみとも読めるでしょう?」
「勝手にしてください。」
先生の提案にも、愛美ちゃんは
冷たく言い放った。
「冷たい性格…」
「ちょ、大西先生!」
「何よ、あなた新人のくせに
私に文句でもあるのかしら?」
先生方は、生徒たちに
聞こえないように話している
つもりらしいが、私は
ばっちり聞こえている。
上司は怖い。どこにいっても。
「大西先生、戻らなくて
いいんですか?」
気を利かせて私は、
大西先生に聞いた。
「そ、そうね。じゃあ石本先生、
しっかりと、授業してくださいね。」
「は、はい。」
大西先生は黒い笑みを
浮かべて去って行った。


