しばらく歩くと、ナイフとフォークが交差した絵の看板がぶら下がっている建物が見えた。
「あ。あそこ?」
その建物を指さしながら訊いてみる。
「あ、いえ。あそこは絶対に入らないでください」
「え、どうして?」
「あそこは、食うところじゃなくて、喰われるところだぞ」
「え」
ーー……それなんのお店なの……。
返答が怖くて訊けない……。
「まぁ、とにかく。あの看板の建物には近づくな」
「……うん。そうする」
「あ、ほら。レストランの看板はあっちだ」
そう言って指さした看板は、鋭い歯がずらりと並んだ口がニタリと笑ってあっかんべぇをしている絵だった。
ーーこっちの方がよっぽど食べられちゃいそうな気がするんだけどな……。
そうは思いつつも、三人に促されて、その建物に入っていった。



