あたしは美味しくない!!




「毒味が終われば、棚の物も好きに使っていい」

「俺、毒味かよ!」

「部屋割りは、どうする?」

「聞けよ!」

 カインはむっとしていたが、ぱくぱくと今度はマシュマロを食べていたから、問題はなさそう。

「一部屋にベッドが二つあるそうなので、二人ずつですね」

「部屋を見てから決めようぜ」

「そうですね。ええと、この扉がーー」

 どこに何があるのか確認しながら、部屋の中を見て回った。

 浴室のバスタブは小さめだけれど、猫足が可愛くて、いい匂いのシャンプーや入浴剤もあって、お風呂に入るのが楽しみだ。

 洗面台の鏡は、細かい金細工の縁取りが素敵だったけれど、肝心の鏡が割れていてダネルが布を被せて隠した。
 映るとあまり良くないらしい。

 部屋はどちらもあまり広くはなく、シングルベッド二つとクローゼットでいっぱいいっぱいで、寝室といった感じだ。
 ベッドに掛けられたシーツには、どれも丁寧な刺繍が施されていて可愛らしい。
 片方の部屋には大きな振り子時計が置いてあって、なんだかチクタクカチカチいう音が落ち着かないから、時計のない方の部屋を選んだ。ダネルも振り子時計は嫌いらしく、あたしと同じ部屋だ。