あたしは美味しくない!!




 ウィルに案内されたのは、二階の一番奥の部屋だった。

 鍵を開けて、中に入る。

「わぁ、すてき!」

 アンティーク調の家具で設えられた部屋は、綺麗に管理されているようで、チリ一つ落ちていない。

「2DKだそうですよ」

「あ、ほんとだ。キッチンがある!」

 2DKとは、部屋が二つと、ダイニングとキッチンという意味だ。

「備品は好きに使っていいそうです」

「ここの、棚のも?」

 キッチンに備え付けてあるスパイス棚を指さした。
 並んだ瓶の中身はそれぞれ、カラフルなジェリービーンズ、いろんな形のグミ、きらきらしたキャンディー、ふわふわのマシュマロ、ちっちゃなチョコチップ。

「あまいものばっかりね」

「魔女の連中は大の甘党だからな。糖尿病にならねぇのが不思議だ」

「カインは、あまいの嫌いなの?」

「いんや?俺は甘いの平気だぞ」

 そう言って、ひょいっと瓶からジェリービーンズを取り出して食べている。