あたしは美味しくない!!



 ーー宿、というか……アパート?

 遠目にも、長方形の二階建ての建物に、玄関らしき扉が並んでいるのが見える。

「あれって、アパートじゃないの?」

「あぱーと、ってなんだ?」

「え?えーとー……、部屋を借りて住むところ?」

「んじゃ、宿と同じか」

「いや、んー……なんていうのかな。宿は泊まるところで、アパートは住むところ?」

「まぁ、数日は泊まることになりますから、同じですよ」

 三人とも、さも当たり前のようにアパートの方に歩いていく。

 ーーここだと、アパートが宿なのかな?

 泊まれるならなんでもいいかと、あたしも開き直って、三人について行く。

 一階の一番手前の部屋が、この宿のオーナーの部屋らしく、ウィルがノックをすると、中から『はぁい』と声がした。

「あ、オーナーさんって、やっぱり魔女、なの?」

「ああ。魔女は人間を喰わないから、心配しなくていい」

 そうこうしているうちに、内側からノブが回されて、ゆっくりと扉が開いていく。