「雨宿りも、悪くないですね」

「スッキリした顔だな」

「ええ。とても」

 後ろの方で、ウィルとダネルが何か話している。

「二人とも、なに話してんだよ?」

「なんでもないですよーー雨もやみましたし、出発しましょう」

 さっと歩き出すウィルの背中を見て、カインが耳打ちしてくる。

「なぁ。何かあったのか?」

 『何か』と言われて、手の甲と顔が熱くなる。

「な、なんでもないよ!」

 赤い顔を見られたくなくて、あたしもウィルの後ろに並んで歩き始める。

「お、おい!なんだよ揃いも揃って!」

「あんたは子供だからな」

「あぁ!?おまえも子供だろ!」

「意味が違う」

「はぁ?意味わかんねぇ」

「だろうな」

「あぁ!?」

 言い合う二人の声を聞き流しながら、あたしは赤い顔を鎮めるのに必死だったーー。