あたしは美味しくない!!




 小さくてかわいらしい子鬼のイメージは、瞬く間に大きくてゴリゴリの怖い鬼に変わってしまう。

「鬼の方じゃない。袋に、だ」

「え、袋に?」

 ーー人喰い巾着?え、じゃあ……

「子鬼たちって……」

「あぁ。喰われた訳じゃない。好んで住んでいるんだ」

「そっか。よかったぁ」

「まれに、行方不明の子鬼がでるらしいが」

「え……」

「冗談だ」

 くっくっと、ダネルが目を細めて笑う。

「この巾着袋が喰うのは、人間だけだ。あんたは近づかない方がいい」

 すっと真面目な顔に戻って、忠告される。巾着袋から細々した調理道具を引っ張り出すと、ポケットにしまってしまった。