あたしは美味しくない!!



「ああ、子鬼の家だ」

 さも当たり前のように言われてしまう。

「い、家?子鬼の?」

「俺たち悪魔族は、元々定住しないからな、荷物の持ち運びにコレを使うんだ」

 コレ、と、巾着袋を軽く持ち上げる。持ち上げたとき、袋がうねうねと動いた!

「ひゃ!動いた!」

「そりゃあ、子鬼が住んでるんだからな」

 あたしが飛び上がって驚くのがおかしいのか、カインは笑いをかみ殺して教えてくる。

「袋の中に、大きな空間があるんですよ。そこに、子鬼が町を作って住んでるんです」

「袋の中に、町があるの?」

 ーー袋の中に、広々とした田舎町があって、そこに小さな角を生やした子鬼達が暮らしているところを想像してみる、なんだかかわいい。

「中、のぞいてみてもいい?」

 つんつんと、袋を指先でつつきながら訊いてみる。つつくたびにうねうねと動いておもしろい。

「やめておけ。喰われるぞ」

「え……」

 ピタリと、袋をつつく指が止まる。