「お手数おかけします……」
「気にしなくていいですよ。食文化の違いですし」
「ダネル、鍋かなんか出してやれよ」
「ああ」
「……お鍋?」
驚いて三人を見るけど、誰も大きな荷物は持っていない。まして、お鍋なんて大きなもの、どこから出すんだろう?
不思議に思いながら見ていると、ダネルがポケットから小さな巾着袋を取り出した。袋の口を開いて、中に手を入れるーーすぅっと肘まで袋の中に入ってしまった。
「えぇ!?なんで?!」
巾着袋はどう見ても片手が入る程度の大きさなのに、肘まですっぽり入っている。ガサゴソと、しばらく袋の中を探って手を抜くと、袋の口がびよんと伸びて、大きな鍋が引っ張り出される。
「これで煮込むか」
「や、それよりも、その巾着袋どうなってるの?」
お鍋より、今はその不思議な巾着袋が気になって仕方ない。



