あたしは美味しくない!!




「あ、おかえりなさい」

 薪を抱えて戻ると、ウィルが迎えてくれた。脇に、水の入ったボトルが置いてある。

「ただいま!」

「ただいま。火をおこすぞ」

 地面に枝を積み上げて、ダネルが火のついたマッチを投げ込むと、パチパチと火花を散らしながら燃え上がる。

「あったかーい!」

 焚き火に手をかざして温まる。すっかり日は沈んで、少し肌寒くなっていた。
 ダネルとウィルも焚き火のそばに座って温まっている。

「カインはまだか」

「ええ。大物を採るってはりきってましたから、夢中になってるんじゃないですか?」

「子供か……」

 ーーもう真っ暗だけど、大丈夫かな?

 あたしの食べるものを採りに行ってくれたのに、あたしだけ焚き火でくつろいでいてもいいものか……寒くて震えていないか心配になる。

「そんな顔をしなくても、大丈夫ですよ。すぐ戻ってきますから」

 そんな顔……よほど暗い顔をしていたのか、ウィルが声を掛けてくれる。

「……うん。そうだよね」

 ーー大丈夫よね。狼のカイン、強そうだったし。

 気を取り直して焚き火に手を伸ばすと、後ろから足音が聞こえてきた。

「ただいまー」