あたしは美味しくない!!



「下がっていろ」

 言われたとおり、慌ててダネルの背中に隠れた。
 ブヨブヨは、枝が刺さったまま、まだブヨブヨと動いている。

「軟体種族か」

 ブヨブヨは、身体を縦に大きく伸ばし、ダネル目掛けて体当たりしてきた!

 思わずダネルの服をぎゅっと握ったが、ダネルは片手を伸ばしただけだった。

 ーーそう、見えた。

 ただブヨブヨに手を伸ばしただけ、そう見えたのに、手を伸ばした途端、ブヨブヨはみるみる干からびていく。

 驚いてダネルを見ると、ダネルの喉元が、大きく上下するのが見えた。

 ーーなにか、食べた?

 もう一度ブヨブヨに視線を戻した時には、もう地面で平たくなって、原形が分からないほどだった。

「……どうして離れた?」

「ごめんなさい……」

 厳しい目を向けられて、小さく縮こまる。
 ダネルが気づいてくれなければ、食べられているところだ。