「アイツの実力、殺してたんだな・・・・・。」






グラウンドで、練習している部員のみんながここからよく見える。先輩はお尻の汚れをパンパ
ンと叩いて、サッカーコートへ向かおうとしていた。






「まあ、俺は悠介みたいなヘマはやんないけどね。天才だから。」






「あっ、そうそう。」と言って、先輩は私の方を向いた。なんか、ちょっとニヤけてない?


「さっきの悠介、キミが声かけたあとに冴えてたんだよね。わかってた?」




私が声かけたあと・・・・・???


ああ・・・・あの、Aチームが焦ってメチャクチャピンチだったとき?





「まさか。」






私がそう言うと先輩はフッと笑ってみんなのもとへ戻って行った。