―僕は今、何処に居るのだろうか。
何も見えぬ暗闇の中、少年は思う。


自分は何なのか。
自分はどう生きてきたのか。

何度も思い出そうとした。
だが、先の思考をただひたすら繰り返すのみ。
何の進歩は得られない。

所謂、記憶喪失と云うものなのだろうか。
どこかに穴が空いているような違和感がする。


―もう、嫌だ……


早く元に戻りたい。元の形がどんなのか解らないけれど。
この漆黒の闇に僕のすべてが飲み込まれ堕ちてしまう前に。


―誰か……誰か……………助けて


どれだけ叫んでも、どれだけ抗っても誰も助けてはくれない。
僕しかいない空間なのだから当たり前だけれど。
でも事実本当に僕以外にいないのだろうか。
他に居たとしても、居なかったとしても
それでも希望が在るのなら探して見る価値もある。

とにかく今は希望を探したい。




――――――――僕が僕じゃなくなる前に