~刹那side~
孕んだと解ってあっさり認めてくれた丹姱さんは、神崎さんだけではなく自らの昔話も聞かせてくれた。




「私が刹那くらいの時に豊浦組を設立したの。刹那のお父さんの宮星扇、当時は渡波扇だったけれどー扇は私をしっかり擁護してくれたわ。私の旧姓は麻宮だけど、組に入った頃から扇は一度も“麻宮さん”とは呼ばなかった」




お父さんのまさかの絡みにびっくりして声をなくしたあたしに、丹姱さんは美しいソプラノを響かせた。




「ある時扇は玲美ちゃんを連れてきたわ。親にいらない子扱いされて捨てられた、玲美ちゃんを。名前通り美しかった玲美ちゃんを私は組で匿った。そんな私を好きになったのは夫だった」