「だから、刹那をよろしく。私は宮星玲美[ミヤホシレイミ]よ。えと…」
「あ、申し遅れました。俺は神崎夕俟。豊浦組のボスやってます」
「そうか、丹姱[ニコ]サンの…。夕俟、夕飯喰ってけ。刹那の作ったケーキもあるんだ」




一般家庭に来るかも解らない客とケーキという摩訶不思議な組み合わせに、神崎さんが訝しそうにあたしを見る。




「あの、ね。マナがその…2ヶ月だって。馬泱兄との…子供」
「馬泱の奴やりやがったな。絶対愛那ちゃん奥さんにするって息まいてたからね」
「だから馬泱兄とマナの結婚が決まったから…お祝いに。二人映画行っちゃったからまだ帰らないけど」




初々しいカップルのようによそよそしいあたしたちに、お母さんが笑う。
お父さんはお父さんで神崎さんの背中をバシバシ叩いていた。