キミが望むのなら



「あっ、お金……」


「いいよ。ここは男の俺に奢らせて」


「でもっ……」


「いいから。無理やり俺が連れ出したようなものだし」


そう言って、掴んでいた腕を離した悠君。


それが寂しい気がした。


「でも……あれって、美樹のために提案してくれたんでしょ?」


美樹が信二君を好きなのを気付いて……



「ん―……ていうより、信二の為を思ってかな?」


「え?信二君の為?」


「そっ、あいつが恋愛をするように」


……恋愛をするように?



「それって……」


「まだ時間ある?」


「え?」


あたしの言葉を遮って、そう投げかけられた言葉。


「まだ時間あるなら、どこか行こうか?」


「あっ……」


頭によぎるのは、篤志の顔。