「泥を塗ったって……」
あたし、何かしたの……?
「あなた、何も知らないの……?」
「え……何を……」
「っ!呆れたっ!!何も知らないで、ここでのこのこと働いていたなんて……」
綺麗な黒髪をクシャとするその姿は、怒っているのが分かった。
「知らないなら教えてあげる。2週間後に行われるパーティーはね、本当は大分前に行われるはずだったの」
「……え?」
それって……
「なのに、悠君はその大事な就任パーティー前に、ケガをして帰って来たそうよ」
「……ケガ」
それって……
「っ……」
「やっぱりあなたが関わっていたみたいね」
ちょ、ちょっと待ってよ……
じゃあ、あの時悠君が言ってた……
――『ちょっとした用事があるんだけど……』
って、このことだったの……?
それなのに、あたしは……
「その就任パーティ―が中止になったせいで、どれだけここの人に迷惑をかけたと思う?」



