「……なに?」
「なんだよ、俺が構ってやらないから、機嫌が悪いのか?」
「違うから。手、離して」
なんか、ここには居たくない。
ここにあたしは必要ない。
「はぁ―……、ほら、相手してやるからそんな怒んなよ」
そう言って、後ろからあたしを抱きしめてくる。
――ゾワッ
「ちょっ、本当に放してって。今はそんな気分じゃないの」
来なければよかった。
「は?なに口答えしてんだよ!」
「なっ!篤志にそんなこと……」
――バンッ
――ビクッ!!
突然、壁を殴った篤志に体が震えた。
「っ……」
背中がスーッと冷えて、体が動かない。



