キミが望むのなら



「まぁ、座りなさい」


「あっ、うん」


お父さんの向かい側のソファーにあたしが座ると、お母さんもお父さんの隣に座った。



な……なに?


この雰囲気。


「バイト、始めたんだってな」


「え?うん。って言っても、短期なんだけど」


「そうなのか?いつまで、するつもりだ?」


なんでそんなこと聞くのかな……?


「そこの女将さんが戻ってくるまでだから、今月までだよ」


「そうか、丁度よかった」


「え……?」



さっきからなんなの……?


意味が分からない……


「何が丁度よかったの?意味が分からないんだけど……」


「実はな、お父さんに転勤の話が来てるんだ」


「転勤……?」


「あぁ、だからみんなでここから引っ越そうと思う」


「なっ!!」


ここから引っ越す!?



「え!?でも、ここからそこまで遠くはないんでしょ?」


「いや、九州だ」


……九州