キミが望むのなら



思い出したように、すごい剣幕で詰め寄ってくる美樹に、体が少し反り返る。


「あの後にねぇ~、おしゃれな喫茶店に一緒に行ったのぉ~~」


「それで?」



「そしたら信二君、本当にコーヒーを飲んで、そのまま帰っちゃったのぉ~~!」


イヤイヤ。


それが普通でしょ?


「今までこんなことなかったのにぃ~~」


美樹にとっては初めてだったみたいだ。



それにしても、あの信二君とかいう彼、見かけによらず真面目なのね……


美樹みたいな子が近づいてきたら、普通の男子なら喜ぶのに。



「あっ、でもねぇ~~メルアドはゲットしたんだぁ~~」


でも美樹も負けてはいない。


メルアドをちゃっかりゲットしてくるなんて……



「でも信二君、メールの返信とかであたしに気がないってはっきりわかったんだよねぇ」


さっそくメール送ったのかよ……



「そんな信二君をさらに好きになっちゃったぁ~~!」


この子も、本当に凄い……


逃げられると、さらに追いかけたくなるんて、凄い子だよ……




「今日も会いに行こうかなぁ~~」



なんて言いながら、美樹はまたあのアヒル口をする。