キミが望むのなら



近くに行って、満月と外灯の光でようやくはっきりと見えた顔。



凄く綺麗な顔をしている。


ダークブラウンの瞳があたしを見つめ、その瞳に吸い込まれるように隣に座った。


「本当に綺麗だよね……」


ハスキーな声が、耳を通って胸の鼓動を速くした。


なんでこんなにドキドキするのだろう?



それに……なんか落ち着く―……


「……」


「……」


ただ黙って空を見上げるあたしたち。


何をするわけでもなく、何を話すわけでもなく……



ただじっと……空を見上げていた。


こんな状況、絶対変だって普通なら思うのに、彼の隣はなぜか自然と落ち着いて、素直に風を感じることができた。



「さっ、そろそろ帰るか」


「えっ……」


どれくらいここにいたんだろう?


短い時間だったかもしれないし、とてつもなく長い時間でもあった気がする……