キミが望むのなら



あっ……


「ごめんなさい……ごめんっ……なさい」


俺……何、してんだよ……


――グイッ


「あっ……」


「大丈夫、大丈夫だから」


「っ……」


「怒ってるわけじゃないから。大丈夫だから、桃香ちゃん」


そっと抱きしめて、背中を撫でる。


ガタガタと震える桃香ちゃんの体から、ゆっくり力が抜けていく……



「ごめんね……」


「……え?」


「俺があの時、そばにいてやれば……」


あの時、手を離さなければ……


あの時、追いかけていれば……



「そしたら桃香ちゃんはこんなことに……」


そっと頬に触れた。


「痛っ……」


「あっ、ごめん!!」


頬から手を放した。