雲に隠れてたはずの月が、桃香ちゃん顔を照らしたから……
そして……
その桃香ちゃんの左頬に、一筋の涙が流れた……
今日は俯かず、空を見ている桃香ちゃん。
でも、今までで一番悲しい目をしている。
「っ……桃香ちゃんっ!!」
苦しくなる胸を押さえて、桃香ちゃんの元に駆け寄る。
「えっ……ゆう……くん?」
振り向いて俺を見つめた桃香ちゃんに、俺はまた言葉を失った。
「あっ……」
俺の視線の先に気付いたのか、パッと俺から視線を外し、俯いた。
「っ!!これ!彼氏にされたの!?」
そんな桃香ちゃんを無理やり振り向かせ、右の頬を見つめた。
きっと殴られたんだろう。
赤く内出血して、青白くなっている。
これは、一発じゃないな……
「ちがっ……」
「桃香ちゃんっ!!」
ここまで自分に大声が出るなんて思わなかった。
「ごめんっ……なさっい…」
ビクッと震え、その後ガタガタと震えだした桃香ちゃんの体。



