キミが望むのなら



今日はお得意様が遅くまでいらっしゃり、店を閉めたのは9時過ぎ。



「すみません、おばあ様。ちょっと出てきます!」


「え!?悠さん!?」



どうしてもやっぱり気になる。


ジーンズとシャツに着替え、家を急いで飛び出した。


どうしてこんなに気になる……?


そこに居るかも分からないのに、なんでそこに向かう……?


昨日、手を繋いでしまった罪悪感か……?


あんな状態で手を放してしまったことへの、後悔か……?



それとも……


はっきりした理由も分からず、ただあの公園に向かった。


桃香ちゃんが……


彼女がいることを祈って……



「はぁ―……はぁ―……」


息も切れ切れについた公園。


今日は曇っているせいか、月も星も見えず、とても暗い。



そんな真っ暗な公園に足を踏み入れると、ベンチに見えた人影。


「っ!!」


暗くて誰だか分からないのに、それがなぜか桃香ちゃんだと思った。



「も……っ」


声を掛けようとして、思わず息を飲んだ。