「そんなことで、こんなに喜んでくれるんだ……」
「え?」
「いや……。それより、ここは話しにくいし、外に出ようか?」
もっと桃香ちゃんの笑顔が見たいと思ったけど、なぜか恥ずかしく感じて、顔を反らした。
外に出ると、ゲームセンターの騒音がなくなり、少し気分が楽になる。
あっ、手、繋いだままだ……
でも……まだ繋いでいてもいいかな……
なんとなく、離したくないし。
桃香ちゃんと話すのは、とても楽しい。
これは心から思ったことで、深く考えもせず『桃香ちゃんて面白いね』と言った。
すると彼女は少し俯いて『嬉しい』と微笑んだんだ。
そしてもうひとつ……
「あたし、何も特徴のない子だから……」
さっきとは違う、悲しそうな笑顔を俺に向けた。
……なんでそんな笑顔をするんだ?
……なんでそんなに自分を卑屈に思うんだ。
彼女と出会った時から思ってた。
この悲しそうな瞳で、何もかも諦めたような口ぶり。
まるで、誰かにそう言われたかのような口ぶりだ……
何が、彼女をそこまで卑屈にさせてる?
何が、彼女をそこまで苦しめている?



