「千優梨ラケットはそうじゃなくてこう持つんやで。
 そっちだと人差し指に力が入って
 気持ちよく打てないやろ」

その頃の自分は何もかもわかんなかった。

「・・・わかんないよせいくん
 私はテニスむいてないのかもしれない・・・。」

弱音を吐く日が多かった。

「千優梨!今諦めていつやるんやねん
 千優梨さっき言ってたやろ
 せいくんと一緒にテニスしたいって
 上手になったらやりたいって
 だからイマ頑張るんや
 俺も協力するから。」

「うん。わかった!私頑張る」

せいくんのその言葉で頑張れるようになった

そのおかげでいまは上達したんだ。

「先生ありがとっ」

いきなり言ったせいかせいくんが

少し驚いている。

「おう」

少し照れくさい

『ありがとっ』なんて

言うの懐かしいから。