「ねぇ‥、ねぇってば!」
「っごめん!」
いつもの甲高い由里の声で目が覚めた。
「梨乃、昨日ちゃんと寝た?」
「‥んー、あんまり」
誤魔化すように笑って軽く話しを流した。
けど、由里はそんなアタシの顔を見ながら苦笑いをしてアタシの目元に手を伸ばしてきた。
「ほらー‥、折角の可愛い顔がクマで台無しになっちゃうよ?」
「えー、可愛くないし。アタシの性格って男っぽいし、別にクマとかどーでも良いかなって」
「俊輔に見られても?」
「別に気にしない」
アタシの回答に由里は呆れたと言わんばかりの表情を見せてくれた。
「小4の頃から今までずっと好きとか、ウチには考えらんない。だってウチらもう中2だよ?」
そう言って由里は自分の席に戻っていった。