「‥大切な人を失うと‥誰もが皆、何かしら後悔するでしょう。あの時こうすれば良かった、心の中にあった気持ちをきちんと言葉で伝えれば良かった‥。」


康介さんの振るシェーカーの音が‥悲痛の音となって耳の奥に響いてくる。


「‥そして、こう思うのです。『自分が死ぬべきだったのではないか』と。」


‥自分が‥死ぬべきだった‥?


私はドキッとして正直を見た。


正直は‥あの冷たい表情のまま‥グラスに注がれるカクテルを見つめていた。


まだ幼い頃‥自分を助けるために亡くなったお姉さんのこと‥ずっとずっと後悔していたんだね‥。


私は溢れてくる涙を抑えながら‥正直の手をギュッと握り返した。