ラブ・ストーリー~可愛くない女~

「‥もう過去のことです。さあ、どうぞ。」


私と正直の横を通り抜け、正直のお父さんは引き寄せられるようにカウンター席に座った。


いつにも増して凛とした表情の康介さんは、一つ一つの動作を丁寧にこなしていく。


そして康介さんのシェーカーの音が‥静かに胸の奥に響いてきた。


「‥‥‥?」


気が付くと正直の手が私の手を掴まえていて‥。


その手はギュッと優しく私の手を包み込んだ。


「‥正直‥。」


私は小さく呟いて、正直を見上げた。


正直は康介さんの手元を黙って見ていた。