‘だだだだ....!’

「飛鳥っ!」
今朝も呉羽の騒がしい足音で目が覚めた。
「騒がしい。呉羽、落ち着かぬか。」
息を切らし、銀の滴を滴ながら走ってきたのは呉羽。
私の旦那様になる人。
謂わば彼氏。
呉羽はホワイトキングダムの皇子候補。
外見も良し、中身も良しの、非の打ち所の無い男だ。
「すまぬな、飛鳥が風邪を引いたと小耳にはさんでな、少し心配になったのだ。」
呉羽は私の寝ている横に腰をかけた。
ベッドの軋む音だけが、部屋に響く。
呉羽が静かに微笑むから、また目が眩む。
「別に平気じゃ」
無関心に外を向くと、呉羽の指が私の髪を絡めた。
絡められた毛先が、呉羽の指の動きに敏感に反応する。
髪からドキドキが伝わりそうだ。
「ならよい。」
とニッコリ微笑む。
その笑顔にはいつも裏がなく、痛いくらいに大好きだ。
呉羽の長く金色の髪が、カーテンの隙間から吹く風で舞い上がる。
私の黒い髪は呉羽の指に絡み付いたまま。
「飛鳥...。」
そう呟く呉羽の目には私の姿が映っていた。
その蒼に近いエメラルドグリーンに吸い込まれる。
「飛鳥....離れんでいてくれるな」
「もちろんじゃ」
いきなり言うその言葉に少し不思議を抱きながら、私の唇にはそっと口付けが落ちた。
「ん...。」
甘い吐息に体が溶けそうになる。
「んん...。」
やけに激しく口付ける呉羽に、幸せは似合わないらしく、寂しそうな目をした。
私はただその目を見つめた。
艶かしい呉羽の体が私の上に覆い被さる。
「すまぬ」
ぎゅっと抱き締められ少し息苦しい。
でもそれ以上にドキドキしている。
「..許す、」
それを合図に次々と呉羽の着物は茶色がかるフローリングに落ち、その美しすぎる美肉をあらわにする。