「待つって言ったのに
抱き締めるとかなしだよな
ごめん」

柴崎くんがあたしを
離そうとしてくれたのに
あたしはなぜか
まだ離さないでほしいと思い
柴崎くんの背中に
手をまわした

「井上!?どーした!?
無理に答えようとしなくて
いいんだよ」

「このままで話したいことがあるの」

「なに?」

「実はね
柴崎くんがそんなに
あたしのこと想ってくれてる
なんて思ってなくて
どーせすぐに飽きるだろーって
思ってたから
嘘の家に送ってもらってたの」