私から少し遅れて店から出てきたけーちゃんを見た瞬間、涙が止まらなかった。


「…浮気者。」



…違うの!


「あいつにあんな顔されちゃって。
 ちょっとドキドキしたんじゃない?」


してないよ!そんなこと言わないで!

そう言いたいのに、口から出るのは嗚咽だけ。


「あいつのが大人だし、俺よりちょこを知ってるみたいだし?」


「戻っちゃえば?」



走って店から出てくる藤堂くん。



「千代子さん!」


そう呼び掛けられても気付かない私は



「やだよ!
 そんなこと言わないで…ぐすっ…」

黙って私の言葉を待つけーちゃん。



「私が好きなのはけーちゃんなの!
 けーちゃんだけなの~…うぅっ…」




それだけ聞くとけーちゃんはとっても極上な笑顔で私を抱き締めた。