階段を駆け上り、屋上まで走った。
ただ、走った。





自分の目指した場所まで、到達した。





屋上のドアを開けると、一気にスゥーッと風が私の頬を伝う。



「立入り禁止!」と書かれた横断幕が、風によってヒラヒラと音を立てて靡かせている。



でも、今の私は人気のない場所で心を落ち着かせたかった。





息を吸い、吐く。

その繰り返しをずっとしていた。
平常心になるまで。



と言っても、それだけでは気休めに過ぎない。





私は自分の首を力一杯、上に向けさせ広い雲一つない大空を見上げる形になった。





晴れてる。
太陽が私に光を与えてくれる。




何だ…もっと早くこうしてれば楽になったのに。