「麻里もおっはよん♪」
雄祐が私に抱きついてきた。
ちょっ、待っ…女子からの視線が痛いんですけど。
「雄祐、うざい。退いて」
「酷っ!それでも俺の幼馴染かよ」
「うん、そうだけど。幼馴染がどうしたの?幼馴染だから何かあるのかい?」
「…なっ。幼馴染だから、抱きつくくらい良いだろ‼」
「えぇ…キッモ」
「雄祐、片瀬。その辺にしとけ」
「はぁ?まだ麻里に言ってねえ事あんだけど‼」
「そうよ。赤谷くんの言う事聞きましょ。赤谷くんかっこ良いし」
私がそう言うと、雄祐が一瞬固まった。さっきまでの気力はなくし、死んだ魚の目をしていた。
…あれ。これは言いすぎか。
まぁ、要するに無表情ということ。
「雄祐、どうしたの?」
「……」
「雄祐?…っ」
私は雄祐の肩に触れようとしたら、バッと振り払われてしまった。
それもすごい勢いで。
あんな振り払う必要ないじゃない。
私は雄祐の後を追おうとしたら、手に感触が感じられる。
不思議に思いそちらをみて見ると、何と赤谷くんに手を掴まれていたのだ。
一気に身体が熱くなった気がした。
この、胸が締め付けられる気持ちは何だろうか。
それに気づくのはもう少し後のお話。

