鬱女と天然男

「夏樹ー!ちょっと夏樹!降りてきなさい」

なんだよ、せっかく帰ってきて休もうと思ってたのに…
私は自分の部屋なら出て階段を降り。
声の主、母のもとえ向かった。

「なんだよ母さん。」

「ご近所さんが昨日引っ越してきたらしくてね。
これ。おすそ分け。あんた持っていってらっしゃい」

…いや、いやいやいやいや。
オカアサマ、ご近所さんは斎藤和也デスヨ。
嫌だ。絶対やだ。

「やだ。」

私が首を軽く降って答えると、
母はわざとらしい笑顔を浮かべこう言った。

「じゃあ今日の夕食抜きね。
あーあ。せっかく今日はあなたの大好きなオムライスなのに…」

「オムライス」…
その単語を聞くだけでお腹が空いてきた…。
人間、やはり第三欲求の食欲には勝てないのか…

「いってきます…」

オムライスがあるなら行かない訳にはいかない…
私はしぶしぶおすそ分けをもって家を出た。