コンコン。 乾いた音が 部屋に響く。 コンコン。 二度目のノックで 春乃は目を覚ました。 「---はっ・・・はい?」 いけない。 うたたねしちゃってた。 思わず 立ち上がる。 「春乃?」 鍵はかけて無かったので カチャっと 春乃の部屋の扉があく。 「…建志ーー?」 あれ? もうそんな時間ーー? あわてて窓の外を見るけど まだ夕日がうっすらと 西の空にかかっている。 「早いおかえりだったんですね?」 「あぁ。まぁね」 建志がにこやかに笑って 春乃の頭を するりと撫でる。