ナミが書いた文字は

涙で滲んでいた。

ナミは乱暴に脱ぎ捨てた

靴をはきなおして

火葬場までダッシュした。

火葬と同時に

この手紙を燃やしてもらおうとした。

この日から

4人の時間は止まっていた。

どれだけ現実の時間が

規則正しく進もうとも

四人の時間は動かなかった。

四人は高校に入学して

卒業した

ナミ以外の三人は

いつしか笑顔を取り戻してた。

三人は

三人の歯車は動いてた。

動かなかったのはナミだけだった。

いつしか毎日の空を

写真におさめてた。

空を見上げるのも癖になってた。

後ろを振り返っては

ため息ついて

闇を抱えた心が痛むたびに

涙を流した。

ナミは前を向けなかった。

ナミの心に光が差すこと

神が手を差し伸べることはなかった。

あの日がくるまでは…

あの日からずっと

目を背けて

歩みを止めていれば。