「おい、下呂姫。なんか面白いことやれよ」
ある日の昼休みのこと。
真生は下呂姫こと三浦 真葉(みうら まよ)に詰め寄った。
戸惑う真葉を尻目に、真生とその周りのくっつき虫共は早くやれとはやし立てる。
「またやってるよ。真生もよくやるよね」
バッカみたい。
廊下にいた隣のクラスの女の子がそう吐き捨てた。
「やめなって。あいつに聞こえたらどうすんの?」
「そん時はそん時だよ。どうせあいつは一人じゃなにもできない可哀想な奴なんだから。」
そう言うやいなや彼女達は自分達の教室に戻って行った。
「可哀想な奴…か。」
私は小さく呟いて真生達を見る。
大勢が寄ってたかって小さいものをイジメている光景はあまりにも痛々しい。
だが、もっと痛々しいのはイジメをしている本人だということに気付けない真生があまりにも不憫で仕方なかった。

