時計の針はもう午後6時を過ぎていた。

グラウンドからはいつの間にか
陸上部の掛け声は聞こえなくなっていた。





「もう帰る??」


今日はちょっと涼しいな、なんて言いながら先生は白衣の袖を伸ばした。




せっかく、話せたのにな...。


先生の質問に
私が名残惜しそうにしていると






「あと15分だけ、な」



なんて優しく微笑んで
私の頭をぽんぽんって撫でてくれた。






そんなさりげない先生の仕草に...


胸がきゅぅってなって

嬉しくて泣いちゃいそうだった。







その日の夜は

いつもより幸せな気持ちで眠りについた。