見上げた背中




けれど、
私の心配をよそに先生は笑い出した。



「あははっ...気にしてねぇよ!!
おかげでいいもん見れたしな」

「いいもの...??」

「そ。いつも大人しい西島の寝顔♪」

「......っ!?」

「授業んときは肩に力入ってる感じだから......。
あんなに無防備なお前は貴重だな!」



たしかに...授業中は知らないうちに
真剣になってたかも。

先生の授業だもん。
つい他より頑張ってしまう。


ていうか......

起きたとき、先生はすでに傍にいたから当たり前なんだけど......寝顔見られてたんだぁ......っ。


はっ!!
よだれとか出てなかったかな!?


しかも、メイクも手抜きだし
髪もボサボサっ!!




「恥ずかしいから見ないでください...」


肩を落としやや低めのテンションで先生に抗議。
それに対し、先生は何か楽しげ。


「いいじゃん。
あんま喋ったことないから
新鮮だったし」

「~~~っでも......っ」

「幸せそうな寝顔だったよ?
寺田先生も、起こすのが可哀想だって
笑ってた(笑)」



あわわ...
どんな顔してたんだ...私...。





でも、迷惑そうじゃなくて良かったぁ。




私がほっとしたのも束の間。


「てか、一体どんな夢見てたんだよ。
お菓子か?チョコ食う夢か??」


先生が真顔でそんなことを
言うもんだから、吹き出してしまった。


「違うもんっ!そんな子どもじゃないですっ!」

「ん?じゃぁ、大人な夢?
うわぁ、お前変態だったのか!!」

「どっちもちがぁーう!!」




先生は私の反応が楽しいのか
からかってくる。







......こんなに笑ったの
いつぶりだろ??




胸が小さく跳ねる。


友達と話すのとはまた違う
この気持ち。





やっぱり
先生が好きだなぁって感じる。






叶わなくたっていい。



先生の傍にいられるだけで

私は......幸せなんだ。