見上げた背中






「お願いがあるんやけどっ」



そんな寺田先生が
珍しく俺に頼み事をしてきた。



「俺、生徒
教室に置いてきてしまってん!」



はぁ?

置いてきた?



「補習中からずっと寝ててな、
そのまま......」



寝てたって...

起こせば良いものを。



「めっちゃ幸せそうな顔で寝てたから...なんか起こすの可哀想やろ?」

へへっと寺田先生は笑う。



「なにやってんのお前...」



「俺今から会議やねん。
悪いけど起こしに行ったってくれへんかなぁ?」


「...疲れてるって言ってんのにー」


「ま、ええからええから♪」




ったく。しょうがねぇ。




俺は2-Bの教室へ向かった。