学校までの道を早足で歩いていると、近くの席の幸に話しかけられた。
「めずらしいね、幸がこんな時間に」
「そう言うハルは常習犯よね」
まあね、と軽く返しながら急ぎ足で歩く。テスト中に遅刻はちょっと遠慮したい。
「勉強した?古文」
「一応ね。それよりも数学がやばい」
「そっかぁ。ハルは得意だもんね、古文。私なんかさっぱりよ」
古文できてもいい事なんかないよ、と言おうとして、足がとまった。
ふ、と振り返った先にいたのは。
「ハル?急がないと遅れるよ?」
「え、あ。うん、ごめん」
変なハル、と呟く幸と並んで階段を駆け上がる。
得意な古文も今日はできないかも、とひとり思った。
そして予想通り、というか。
「惨敗………」
「ハル、大丈夫?」
幸に愚痴りながら、とぼとぼと坂を上る。