同じ夢を見るようになってから、もう一週間以上は経つ。
もともと昔から、その夢はよく見ていた。
風邪をひいたとき、喧嘩して泣いたとき、悲しくてしょうがなかったとき。
その日に見るのは決まって同じ夢だった。
「ストレス溜まってんのかなぁ、私」
なんでかわかんないけど、焦る。
何かを忘れているようで、忘れていることを忘れている自分に、むしゃくしゃする。
「………なんて、ね」
「ハルーーー、早く起きなさーい!」
「はーい、今行くー」
お母さんの声に、急いで制服に着替えて居間に向かう。
時刻は八時十分。そろそろ家を出ないと間に合わない。
「おはよう」
「おはよ。お母さん、私今日朝ご飯いらない」
えぇ?と、なにやら文句を言っている母を無視して、牛乳だけ飲んで玄関を出る。
試験期間は鞄が軽いから楽だ。
「ハル!」
「幸、おはよ」