君色Diary

「七海!これ、もしかして海斗さんがやってくれたの!?」


「あ、うん。時間ないからやってーって」



あたしがそう言うと、葉月は「可愛いーっ」と言いながら、カールした毛先を触る。

その隣では空くんが「海斗さん?」と首を傾げ、陽向くんは敵対心むき出しで葉月とあたしを交互に見ていて。


あ、そっか。

空くんと陽向くんは、あたしにお兄ちゃんいること、知らないんだよね…。

ってか、陽向くん、目付き怖い…!

絶対なにか誤解してるよ……!!

早く言わないと……!



「えっとね、海斗っていうのは、あたしのお兄ちゃんだよ!美容師やってるから、セットしてもらったの!」



慌てながら説明すれば、空くんは「そうなんだ」と頷き、陽向くんは疑惑の目を向けたまま、とりあえず納得したように「ふーん」と呟く。


陽向くん、納得してくれてない!?

葉月は偶然、お兄ちゃんのいる美容室に行って、羨ましがってるだけだから……!

そんな疑うような目で見ないでよー!!